2 次元ラインプロットの作成

はじめに

MATLABは数値解析やデータ可視化を行う上で、とても便利なツールです。その中でも基本かつ頻繁に利用されるのが「2 次元ラインプロット」です。たとえば、観測データの推移を時系列で確認したり、ある数式のグラフを描画したりと、さまざまな場面で活躍します。本記事では、MATLABを使った2次元ラインプロットの作り方と基本的なカスタマイズ方法について解説します。

キーワード再掲:MATLAB, 2 次元ラインプロット, plot, ラインスタイル, 軸の設定, ラベル, タイトル, grid

1. 基本的な 2 次元ラインプロットの作成方法

1.1 単純な例

最も基本的なプロットは、plot 関数を使うだけで作成できます。たとえば、 $x$ を $0$ から $2\pi$ まで $0.1$ 刻みで生成し、その値に対して正弦波 $\sin(x)$ を描画してみましょう。

このスクリプトを実行すると、横軸が $0$ から $2\pi$ まで、縦軸が $\sin(x)$ の波形が描画されます。

x = 0:0.1:2*pi;     % x軸の値を生成
y = sin(x);         % y軸の値としてsin(x)を計算

plot(x, y);
xlabel('x');        % x軸ラベル
ylabel('sin(x)');   % y軸ラベル
title('Sine Wave'); % タイトル
grid on;            % グリッド表示

図１．基本的な 2 次元ラインプロット

2. ラインのスタイルや色、マーカーの変更

2.1 ラインスタイル・色・マーカー指定

MATLABの plot 関数では、ラインの色・スタイル・マーカーなどを指定することでグラフをカスタマイズできます。たとえば下記のようにオプションを付け加えてみましょう。

x = 0:0.2:2*pi;
y = sin(x);
plot(x, y, 'r--o', 'LineWidth', 2, 'MarkerSize', 6);

xlabel('x');
ylabel('sin(x)');
title('Customized 2D Line Plot');
grid on;

ここで、

'r--o' は赤色 (r) の破線 (--) に丸マーカー (o) を表す書式指定子です。
'LineWidth',2 はラインを太めにし、MarkerSize を指定してマーカーを大きくしています。

図２．ラインスタイル・色・マーカー指定

3. 軸の設定や体裁の調整

3.1 軸の範囲とスケール

axis 関数を使うと、軸の表示範囲やスケールを制御できます。

x = linspace(0, 10, 50);
y = log(x+1);
plot(x, y, 'b-','LineWidth',1.5);

xlabel('x');
ylabel('log(x+1)');
title('Logarithmic Plot Example');
grid on;

axis([0 10 0 3]);  % x軸を0~10, y軸を0~3に固定

axis([xmin xmax ymin ymax]) という形式で、表示範囲を固定できます。

図３．軸の表示範囲やスケールの制御

3.2 軸のスケール変更

対数スケールにしたい場合は、set(gca,'YScale','log') のように設定します。2次元ラインプロットでも、片軸だけを対数表示にして可読性を高める場合があります。

x = linspace(0, 10, 50);
y = exp(x+1);

figure
plot(x, y, 'b-','LineWidth',1.5);
xlabel('x');
ylabel('log(x+1)');
title('Logarithmic Plot Example');
grid on;
axis([0 6 0 1000]);  % x軸を0~6, y軸を0~1000に固定

% y軸を対数スケールに
figure
plot(x, y, 'b-','LineWidth',1.5);
xlabel('x');
ylabel('log(x+1)');
title('Logarithmic Plot Example');
grid on;
axis([0 6 0 1000]);  % x軸を0~6, y軸を0~1000に固定
set(gca,'YScale','log');

図４．軸のスケール変更

表１．軸設定に用いられる代表的な関数

関数・プロパティ	役割	例
`axis([a b c d])`	x軸(ab), y軸(cd)の表示範囲を固定	`axis([0 10 -1 1])`
`xlim([a b])`	x軸の表示範囲の指定	`xlim([0 5])`
`ylim([c d])`	y軸の表示範囲の指定	`ylim([-2 2])`
`set(gca,'YScale','log')`	y軸を対数スケールにする	`set(gca,'YScale','log')`

4. ラベルやタイトルなどの追加要素

4.1 ラベルとタイトル

先ほどの例のように、xlabel, ylabel, title で軸やグラフ自体に説明を加えると、可読性が向上します。

x = 0:0.1:2*pi;     % x軸の値を生成

figure
plot(x, sin(x));
xlabel('Time (s)');
ylabel('Amplitude');
title('Simple Sine Wave');

4.2 文字サイズやフォントの変更

軸ラベルやタイトルの文字サイズ、フォントなどを変更したい場合、以下のような指定も可能です。

x = 0:0.1:2*pi;     % x軸の値を生成

figure
plot(x, sin(x));
xlabel('Time (s)','FontSize',18,'FontWeight','bold');
ylabel('Amplitude','FontSize',18,'FontWeight','bold');
title('Simple Sine Wave','FontSize',21);

図５．グラフへのタイトル・軸ラベル追加とサイズ変更

5. その他の便利機能

5.1 グリッド表示

グリッドを表示するときは grid on;、消すときは grid off; と書くだけです。データの位置関係を視覚的に把握しやすくなるため、便利です。

5.2 figure ウィンドウの扱い

figure コマンドを使うと、新規ウィンドウにプロットできます。
同じウィンドウのプロットを消去したい場合は、clf (clear figure) が使えます。

まとめ

本記事では、MATLABにおける2 次元ラインプロットの作成について、以下のポイントを中心に解説しました。

基本的なプロット: plot 関数を使い、x と y のデータから簡単にグラフを作成
ラインのスタイルや色・マーカーのカスタマイズ: 文字列指定や引数設定で手軽に調整
軸やラベル、タイトルの設定: axis, xlim, ylim や xlabel, ylabel, title など
グリッド表示やfigure操作: grid on/off、figure、clf など

これらを活用すると、観測データや数式の振る舞いをグラフで直感的に理解しやすくなります。

さらなる学習リソース

MathWorks公式ドキュメント（日本語）
MATLABの基本的なプロット機能
MATLAB Answers (Q&Aフォーラム)
グラフのカスタマイズに関する質問・回答が多数掲載
YouTube MathWorks公式チャンネル
動画チュートリアルでプロット作成の手順を視覚的に学べる